【日々のあれこれ、あてどなく。】

ジャンルに捉われず、自由に書いていきます。

想像させる言葉「茜色の夕日」

フジファブリックの「茜色の夕日」。

君に伝えた情熱は
呆れるほど情けないもので
笑うのをこらえているよ
後で少し虚しくなった
東京の空の星は
見えないと聞かされていたけど
見えないこともないんだな
そんなことを思っていたんだ


これは僕の勝手な解釈だ。

上で引用した部分だけでなく、歌詞全編を通して頭に思い描いた物語。


主人公は大学1年生の男の子。

高校時代、勇気を振り絞ってラブレター(メール?)で好きな女の子に告白した。

今思い出せば、なんで直接伝えなかったんだろうと思うくらいに、当時の彼はチキンだった。

どうにか付き合えたものの、大学進学を迎え、それぞれの道へ。

嫌いになったわけじゃないけど、これから遠距離になるのは辛い。

彼のほうから、それとなく別れ話を切り出したら、彼女はわんわん泣き出してしまった。

今までのようには会えないけれど、それでも遠距離恋愛を選んだ二人。

時は流れ、大学1年の初夏。

一人暮らしにもずいぶん慣れてきた。

いざ東京で生活してみると、実家を出る前に聞かされたり、思い描いていたような街とは少し違っていた。

地元ほど澄んだ空ではないが、ちらほら星も見える。

周りの環境は想像以上に変わっていく。

大学の同級生にかわいい子がいて、彼は密かに想いを寄せ始めている。

遠くで暮らす彼女の存在が日に日に薄れていく。

きちんと別れて次に進むべきなんだろうけど、あの日の涙を思い出すとそれはできない。

どっちつかずの気持ちは、夏の夜空に浮かぶ少し霞んだ星々に似ていた。


志村さんの歌詞は、等身大だ。

イケメンでもなければ、性格もかっこいい部類ではない、そんな人を主人公にした歌詞が多い気がする。

それをあのクセのある声で歌われたらもうね。


今日は志村さんの命日。

人気バンド・フジファブリックとして、COUNTDOWN JAPAN0910のステージに立つ予定だった。

そのほんの数日前、4年前のクリスマスイヴに、29歳にして彼はこの世を去った。

CDJ0910のステージでは、過去のフェス映像が流され、みんな静かに冥福を祈っていた。

あの場面が今でも忘れられない。

あなたの、耳に絡みつくようなちょっと色っぽい歌声は、今でも私たちの中で耳鳴りのように響いています。